流星ラジオ
羽美のことを忘れることも、帰ることもできないまま、5年の月日が経つ。
指輪を買うだけのお金はとっくの昔に貯まっていた。
けれど帰ることはできなかった。
怖かったのだ。
彼女がもし自分を忘れていたら?
彼女が他の男とあの部屋に住んでいたら?
あの部屋自体がなくなっていたら?
帰ったとしても、あの温かく愛しい日常があるとは限らない。
自分から手放したくせに、それが形を変えているかもしれないことが恐ろしくてたまらない。
現実から目を逸らすことで、彼は何とか正気を保っていた。
空を見上げれば、満天の星空。
いつだったか彼女に聞かせた話が蘇る。