流星ラジオ


出ていく前にあれほど怒らせたのに。

羽美が一番気にしていたことを指摘したのに。

悪気が無かった分、怒りをぶつける場がなくてつらかっただろうに。


これだけひどいことをして待たせたのに、それでも彼女は俺だけを待っていてくれた――。


「今日、羽美に会ったの。誕生日プレゼントを渡しに行くつもりだったのに、あんたの話ばっかりになっちゃったわ」

「ごめん」

謝る意味があるのかとも思ったが、そうせずにはいられなかった。

砂名にも、羽美にも、謝りたかった。


「あんたのせいで、羽美は泣けなくなった。泣いちゃいけないと思ってる」

羽美が?

いつも思ったことをそのままぶつけてくる羽美。
だから笑顔も泣き顔も怒り顔もたくさん見てきた。


その羽美が、泣かないなんて。



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