流星ラジオ


開いたままのドアを不用心だと思う。
それと同時にうれしくもある。

待っていてくれたんだね。


そっと部屋に足を踏み入れると、イヤホンを耳に入れたまま机に伏せて眠る彼女。

5年前の風景が、浮かんで滲む。


変わらない場所が、そこにあった。



机の上には、あの日から写真が変わっていない写真立て。

すべての思い出が、君と共にあった。


「ただいま」


ゆっくりと彼女の前に置いた指輪の箱。
そっと添えた再会の挨拶。


そして彼女が、目を開ける――。



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