月物語 ~黒き者たちの宴~
序章
「そうか…
次なる王が見つかったか。」
寝台に横たわったまま、女が言った。
灯された明かりは、女の冷たい声に微かに揺れた。
「やはり、あちらに、
星明の国にいらしたようで。」
寝台の横にかしずく男が応える。
男は顔を上げ、恭しく女を見上げた。
女は静かな眼差しで天蓋を見つめている。
男から見える女の横顔は、疲れきっていた。