月物語 ~黒き者たちの宴~
―4―
闇と同じ色の気持ちに、埋もれてしまいそうだ。
夜は感傷的になりやすいからかだろう、と礼は思った。
自分が後悔などするはずがない。
ただ、夜になっただけ。
闇に紛れて沈んでしまう者は、一生這い上がれないだろう。
きっとどこが上か下かもわからない。
それは恐れていたことだけれども、そうなってしまえば楽なような気もする。
闇ならば、もがく姿を見られないですむ。
恥姿を誰にも見られたくない。
「ここは私の国。
皆の命は私の手の中…」
自室で呟いた礼は、掌を握った。
確かめるためだ。
自分の声、掌を握る感覚―――――。
それらは、礼がまだ闇に飲み込まれていないことを意味した。