月物語 ~黒き者たちの宴~



『民の命はもっと重いんだぜ。』



『我々ができること、それすらも…』



獅子や平当の言葉が蘇る。



鏡台に置いてある化粧道具を払いのけた。



ガシャンという快活音と共に、彩夏が部屋に飛び込んできた。



「どうなさいました!」



後ろの衛兵も武器を構えている。



床に散らばったガラス細工の破片を見て、彩夏は少し安心した。



「お怪我は?」



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