月物語 ~黒き者たちの宴~
「まぁ。どんな夢ですの?」
「それが、不思議なことにね。
話そうと思うと忘れちゃうのよ。
本当きれいさっぱり。
でも、夢のなかで“また”って気づくの。」
光燐はこぽこぽとお茶を入れる。
「いい香り。」
「主上がお疲れのようだったので、甘いお茶にしましたの。」
光燐の笑顔はいつも可愛い。
「ありがとう、光燐。」
そう微笑む礼は、やはりどことなく疲れているように見えた。
―きっと王様の仕事に、気が張っていらっしゃるのね。
それにそろそろ…
「では主上、わたくしと少しお話しましょう。」
礼の手を握った光燐は、何故か生き生きとしている。
「女性同士の話題と言えば、これしかありませんわ!」