月物語 ~黒き者たちの宴~



「あいつの気は消えちゃいない。
俺にも何か―――」



「ならぬ!」



珍しく劉向が声を張った。



その理由は少年にもよくわかっている。



しかし、どうにも抑えられない衝動が少年を襲う。



「あぁーそーかい。
じゃ、こっちはこっちでやらせてもらいますよ。」



「待て!」



劉向は初めて息子を振り返った。



視界に入ったのは、思っていたより大きい息子の背中だった。



< 142 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop