月物語 ~黒き者たちの宴~



蒙御史大夫は光燐などちらりとも見ない。



印を捺す重たい音だけが、静まり返った部屋に響く。



光燐は、彼に頭を下げることが不快だった。



身分だけは高い。



能力よりも、位が彼を勝る。



いや、それこそが彼の能力を示すものなのかもしれない。



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