月物語 ~黒き者たちの宴~
光燐は淡々と『花の条件』を述べた。
「主上のため、だからな。
極上のモノを用意しよう。」
極上のモノ。
その言葉に鳥肌が立つ。
―庶民が…。
とても下品な表現に、光燐は苛立つ。
彼が御史大夫でなかったら、蹴り倒すところだ。
だが、そこは一切表情には出さない。
「確かにお願いしました。
では、失礼仕ります。」
もはや彼から返事はない。
光燐などいないかのように。
そのまま、光燐は部屋を後にした。