月物語 ~黒き者たちの宴~



「主上、どうか。」



男は光燐などいないかの如く、礼に視線を送る。



礼は雉院と近づきたいと思っていた。



どんな噂があろうと、王を経験した人物が如何なる者か知りたい。



深い意味はない。



ほんの興味だ。



彼に近づけば、自ずと雉院にも近づける。



そして何より、その男の容貌に惹かれた。



「聞こう。」



礼の言葉に、光燐ははっとなり、男を睨んだ。



光燐も、王には従わざるを得ない。




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