月物語 ~黒き者たちの宴~
「ありがたく。
私は、前王雉院様の右寂、花 宋春(か そうしゅん)と申します。
雉院様から言遣って参りました。
ぜひ、お話したいと。」
光燐の目が、さらに険しくなった。
「雉院が?
なに用だ?」
「それは私には申し上げられません。
とにかく、お会いしていただければ。」
「そうか。
私も一度お会いしたいと思っていた。」
光燐の焦った目が、礼に訴えかけてくる。
逢わせたくないというようだ。
やはり雉院は暴君だったのだろう、と思った。
「明日の同じ刻、この場にてお迎えに参上仕ります。」