月物語 ~黒き者たちの宴~



「わかった。」



礼は頷いた。



「そんな………。

―――――しゅっ、主上、お待ちくださいませ。」



歩き出した礼に、光燐は縋るように撤回を求めた。



礼はそれを暫く無視して歩いていたが、男の姿が見えなくなると口を開いた。



「大丈夫。
あたしは呑まれないから。」



光燐は黙って俯いていた。




< 159 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop