月物語 ~黒き者たちの宴~

―1―




―――新月の日。



物忌みをさせられていた。



窓も開けられず、息苦しさを感じる。



月はもう登ったのだろうか。



礼は、皆の気持ちとは裏腹に、何かが起こることを期待していた。



時が長い。



『主上―――――』



あの声が降ってきた。



『主上。』



なんとなく、来ることの予想はしていた。





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