月物語 ~黒き者たちの宴~
「良かった。
どうしたらまた会えるのか、考えていたとこだったの。」
『今日は、少し長くお話しできます。』
「新月だから?」
返事はない。
何か引っ掛かる。
「…いいわ、あなたと話せるなら。
ところで、そろそろあなたの正体を教えて。」
『私は、あなた―――』
―やはり。
その言葉で確信する。
「やっぱり、あたな飛燕なのね?」
『わかっていらしたのですね。』
「だから、彩夏たちには言わなかったわ。
あなたのこと。
いいえ、言えなかったのね。」
『母だから?』
「…そう。でも、それより…」
―彩夏に攻められるのを恐れた。