月物語 ~黒き者たちの宴~
「あなたを返せって言われたら、私はどうしたのかしら?」
やるせない笑いが漏れる。
『あなたが望むままに。
私はあなたに身体を捧げたことを悔いてはないわ。』
「どうして?」
「私の『誇り』のため。」
ほのかに胸が温かくなる。
「雉院にも会った。」
『………。』
「そなたを思って泣いていたわ。
あなた、とても慕っていたのでしょ?
彼女は、皆が思っているほど残酷な女ではない。」
『女?』