月物語 ~黒き者たちの宴~



「あなたを返せって言われたら、私はどうしたのかしら?」



やるせない笑いが漏れる。



『あなたが望むままに。
私はあなたに身体を捧げたことを悔いてはないわ。』



「どうして?」



「私の『誇り』のため。」



ほのかに胸が温かくなる。



「雉院にも会った。」



『………。』




「そなたを思って泣いていたわ。
あなた、とても慕っていたのでしょ?
彼女は、皆が思っているほど残酷な女ではない。」



『女?』



< 182 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop