月物語 ~黒き者たちの宴~
―――同じころ。
赤天の間では、劉向が力を使っていた。
汗が目にしみる。
これほど力を使わせるとは、相手の力量が恐ろしい。
王は獅子や彩夏に見晴らせている。
外からの変化はないが、明らかに王に干渉したものがいる。
「おいっ、オヤジ!」
激しい消耗の末に、膝が折れた。
「老いたか…。」
「おい!
誰かいるか!」
息子の声が遠退いていく。
「オヤジ!
しっかりしろ!
オヤジっ!!」
―乗り切れたか…。