月物語 ~黒き者たちの宴~

―2―




月が半分欠けた晩のことだ。



今宵は光燐も彩夏も現れない。



どうしたのだろうと思っていた矢先にやってきたのは、『花』だった。



一瞬不審者かと、備え付けてある剣を構えた。



もちろん、剣技は習っていない。



だが、どうも彼には殺気がない。



日本にいた時の方が、よっぽどそれらしきものを放つ者がいた。



礼は、無理にでも緊張感を保つ。



しかし、この『花』がとんでもないことを言ってのけたので、緊張の糸はぷっつりと切れてしまった。



「…―で、あなたは私とやりに来たわけ?」



「左様にございます。」




< 187 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop