月物語 ~黒き者たちの宴~



―背が高くて、
切れ長の目で、
サラサラの黒髪で…
って、あれ?



「ねぇ。」



「何でございましょう。麗しの方。」



―薄い唇に、甘い声。



「ちょっとこっち来て。」



準備仕掛けの茶をそのままに、不思議そうな顔で男は近寄り跪く。



―まさか…



『花』は、何も言わない礼の手をそっとすくい上げた。



―長い指に、優しい双眸。



男は礼の指に口づける。



―甘い仕草に台詞。
まさか、
まさかまさかまさか
彼は………



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