月物語 ~黒き者たちの宴~



今日もやってきた別の華官に、陽春のことを聞いてみた。



「彼はどうしているの?
お茶を入れてくれる約束をしたのだけれど。」



「陽春は、ふさ…あっ…その…」



優しさの塊でできたような男だったから、少し聞いてみた。



彼が隠していることは何となくわかる。



―そうか、塞ぎこんでいるのね。



「次は、陽春が来るように言ってちょうだい。」



男は嬉しそうに頷いた。


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