月物語 ~黒き者たちの宴~
「ですから、再びお呼びがかかった時、私は、私は…」
「あー、はいはい。」
つくづく理解不能な男だ。
「でも、まだだから。」
礼は、取り敢えず一番言わなければならないことを、きっぱり言っておいた。
「まだ?
そうですか。
まだなのですね。」
彼は、何を喜んでいるのだろう。
「まだが終わるまでいついつまでも、お待ち申しあげております。」
礼は、がっくりと肩を落とした。
陽春を呼び戻したことに、後悔した礼であった。