月物語 ~黒き者たちの宴~



「ですから、再びお呼びがかかった時、私は、私は…」



「あー、はいはい。」



つくづく理解不能な男だ。



「でも、まだだから。」



礼は、取り敢えず一番言わなければならないことを、きっぱり言っておいた。



「まだ?
そうですか。
まだなのですね。」



彼は、何を喜んでいるのだろう。



「まだが終わるまでいついつまでも、お待ち申しあげております。」



礼は、がっくりと肩を落とした。



陽春を呼び戻したことに、後悔した礼であった。



< 201 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop