月物語 ~黒き者たちの宴~
―3―
最近、雉院の体調が思わしくないらしい。
礼は雉院のもとを訪れていた。
義理立てする必要はないが、前王を見舞っても罰は当たらない。
何より、雉雀の本当の姿を見極めたかった。
何度か会っているが、礼には噂させている通りの人物だとは、やはり考えられないのだ。
それに、雉雀の死期が近いのは確かだった。
「で、何故あなたが一緒なの?」
「光燐殿に頼まれまして。
自分はついていくことを許されないだろうから、と。
これでも御史に属しているので、腕はそれなりに立ちます。」
「いや…そういう問題じゃ…」
何だか話がややこしくなりそうなので辞めた。
―それにしても、光燐が着かせたなんて。
よっぽど心配なのかしら。