月物語 ~黒き者たちの宴~



部屋には、やはりあの男もいた。



いつ訪れても彼はいる。



雉雀は横になったまま起きあがれないようだった。



「すまぬのう。こんな姿で。」



「かまわぬ。」



傍で控えている宋春は、気が気でないようだ。



「雉院様、兄上、おひさしゅうございます。」



「………?」



陽春の開口一番、結局話をややこしくした。



「あっあっあっ兄上?」


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