月物語 ~黒き者たちの宴~
「宋春兄上にございます。
といっても、血は繋がっておりませんが。」
いつものへらへらした笑みとは違って見える。
敬愛という言葉が浮かんだ。
「陽春の春は、わらわがあてがった名じゃ。」
なるほど。
どうりで似た響きを持っていた。
それにしても、雉雀は枝のような身体をしている。
老いとは、逃れられないものだと嫌でもって示してくるようだ。
「ねぇ、どうして王を辞したの?」
宋春がぎょっとする。
「そなたもあの噂を聞いたか。」