月物語 ~黒き者たちの宴~



「―――そなたもいずれわかる。
時とは、残酷なものよ。」



何と応えればよいのか、礼にはわからない。



「宋春、主上にお持て成しを。
陽春も、息災そうでほんに何より。」



「しかし…」



「今日は気分がよい。
少し眠るぞ。」



そのまま雉雀は眠りについた。



「兄上、今日は私にお茶を入れさせてください。」



―犬か!
―犬か!



二人にはパタパタ振る尻尾が見えた。



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