月物語 ~黒き者たちの宴~
礼の反応は面白くない。
人が仰天し、慌てふためく様は何度見ても笑える。
猫にとっては、それが一番の楽しみだった。
「あぁ~つまらん。」
猫は嫌みでもう一度言ってみた。
礼は黙って微笑んでいる。
猫を見ているものの、その目に映っているのは別のもののようだった。
「ねぇ、猫さん。」
礼は猫の頭を撫でる。
手の温もりと同時に、威圧のような重たいものが流れてきた。
猫は身震いする。
礼は、手はそのままで猫から目を離すと、初めて辺りを見渡した。
一面緑の絨毯に、ところどころ鮮やかな花を咲かせている。
うさぎが顔をもたげて、二人の様子を伺っていた。