月物語 ~黒き者たちの宴~
人を二分し、順位をつけ、均等になるよう配分している。
だから、礼の考えや知り得た情報は、まばらに数人のものに渡る。
劉向にも知り得ていない情報が確実にあった。
礼にとっての一番の座は揺らいだ。
いや、一番など始めからいなかったのかもしれない。
とにかく、信頼たるべき者の高順位にやっかいな者が食い込んできた。
それも、こちら側ではないものが。
「もはや、私と雉院様の知り得ている量は等しいかと。」
「いや、寧ろこちらにない情報が多い。
主上が我々に投げる情報は、精神的なものが多い。
それに相手の駒も完璧には把握していない。
平当や獅子のように、あえて順位を外しているものがいるはずだ。」