月物語 ~黒き者たちの宴~


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男は再び目覚めた。



今度は誰も呼んではいない。



だが、天が呼んでいる。



遠くで誰かの鳴き声がした。



もうすぐ二度目の新月がやってくる。



もう、“あれ”を遮る力は残っていない。



指を動かしてみる。



まだ動く。



ギシギシとなる手で、胸の首飾りを探す。



―よかった。
まだあった…



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