月物語 ~黒き者たちの宴~
礼は、ちらりと東苑の方を見た。
友の劉向が死んだというのにいつもどうり穏やかだ。
それが、奇妙で恐ろしくもあった。
今回の事件に関して、彼には怪しい点があった。
光燐が偶然見たという状況で、礼の頭は整えられていった。
『主上、実は………
言おうか悩んだのですが………』
それは、劉向が死んだと知らせが入った晩のことだった。
『私、見てしまったんです。
あの日、私は清罪宮のそばを通りかかって…
そうしたら、清罪宮からあのお二方が一緒に出てきたのです。』