月物語 ~黒き者たちの宴~
守兵たちの見張りは、夜にこそ厳しい。
高官が夜中に清罪宮を出いるすることなど有り得ない。
光燐の言う二人というのは、東苑と獅子だった。
礼の部屋の衛兵を使って、確認も取らせた。
どうやら、事実のようだ。
あの穏やかな仮面の下に、どんな姿が隠れているのか考えただけで恐ろしい。
東苑の態度からしても、疑念は増すばかりだった。
しかし、東苑はかなりの高齢だ。
殺ったのは、獅子だろう。
あの棍棒で。