月物語 ~黒き者たちの宴~
礼は東苑が出て行った後を、こっそり追った。
厄介な衛兵は、口で巻くしかない。
動きにくい服装だし、事件の後なのでやたら警備も厳しい。
これでは見失ってしまう。
「どうなさりました、主上。」
まただ。
怪しまれないようにといったって、礼が一人で歩いていると、そうもいかない。
そこへ丁度、光燐がやって来た。
「ここに、いらっしゃいましたか。
新しいおめしものは、用意しましたから、さあさあ、こちらへ。」
光燐は、唐突に意味不明な言葉を言った。