月物語 ~黒き者たちの宴~
7章 孤軍奮闘 ~王宮事件解決篇~
―1―
「意外とやるなー、こんなとこまで追っかけてくるとは。」
獅子が感心したように窓の外を見た。
「まさか、この警備の中つけられるとは思わなかった。」
「まっ、光燐もいたからな。」
礼たちが去ったのを確認すると、獅子は簾を下ろした。
実はもう一人、様子を窺っているものがいたのだが、そちらは無視する。
軽視するわけではないが、絶対に気取られてはいけない相手でもある。
獅子は、二人の来訪者に視線を向けた。
「あんたの心配は、当たってたみたいだな。
みんな、動き出した。」
「ばらばらに動くのはまずい。
特に、王がこんなところにまで…
守備兵は何をしているのだ!」