月物語 ~黒き者たちの宴~
いつでも熱い男だ。
そして賢い。
「そんな興奮すんなよ。
あんたがあの王を嫌いでも、天が選んだんだ。
俺たちは守る駒になるしかねー。」
「だから私はここにいるのではないか。」
男は益々興奮した。
東苑が、ギロりと獅子を睨む。
そして、もう一人の来訪者に向き直った。
「そうじゃ。
もう、そなたは十分役目を果たした。
だから―――」
東苑が静かに諭すように言った。
「彩夏殿、捨て駒になるようなことはするでない。」