月物語 ~黒き者たちの宴~
「だって、ここは私の世界でしょ?」
妖怪、化け物、悪魔…
そういう類のものが出てくる小説が、礼は大好きだった。
そして、その中に自分の居場所があるような気がしていた。
ここは、礼が望んだ世界に違いないと思った。
「…はっ?」
鰯は目を点にした。
「きっと、この世界が私を喚んだのよ。」
礼は、答えながら鰯を観察した。
鰯が敵という可能性を忘れていたことに気づいたのだ。
鰯は、烏も警戒しながら言った。