月物語 ~黒き者たちの宴~

―2―




―――新月当日。



礼は、朝からそわそわしていた。



身軽な服に身を包んで、部屋を行ったり来たりしている。



ときどき光燐が様子を窺いに来るが、彩夏の姿は見ていない。



―今は、私の身体を守ること。



そう言い聞かせて、飛燕の声を待った。



夕刻になって、その時は訪れた。



「待ってたわ。」



『外へ。
私が誘導します。』



礼は、何も疑いことなく扉を開けた。



衛兵たちの姿がない。



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