月物語 ~黒き者たちの宴~



―兵が多い?



宋春は嘘を言っていたが、礼は何も言わなかった。



しかし、何だろう。



酔っているかのように、身体がふわふわしてきた。



久々に走ったせいか。



「さぁ、疲れただろう。
これをお飲み。」



雉院が杯を渡した。



危険信号が最大限に鳴っている。



「お飲みください。」



いつの間にか背後に回った宋春が、短刀を突き付けていた。



これが罠だろうが、従うしかない。



刺されるよりは、毒で死んだ方がましだという考えが浮かんだ。



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