月物語 ~黒き者たちの宴~
―毒、か?
射抜くように、雉院を見上げた。
雉院の口角が上がり、高らかに笑い出した。
「何と愚かな。
おとなしく守られておけばよいものを。」
礼は、もはや座っているのか、横たわっているのかもわからない。
ふと、最後の朱雀の言葉が蘇る。
―けど、ここじゃない。
「その器はな、わらわの為に用意されたのじゃ。
そなたは用済み。」
礼の顎をすっと持ち上げた。
「わらわが真の王。」
―どういうこと?
問い返す声も出ない。