月物語 ~黒き者たちの宴~
「天の気まぐれよ。
そなたが『星明の国』から来ると聞いた時は、さすがに驚いたが。
本当に“あ奴”の言うとおりになったわ。
我は手に入れるぞ。
欲しいものは全部。
そうじゃ!
最後にいいことを教えてやろう。
陽春は、そちが殺したのじゃ。」
―――えっ?
「そなたを殺す役目を、陽春は担っていた。
じゃが、陽春は命に逆らった。
本気で、そなたを愛したようじゃ。
ほっほっほ」
―――陽、春…
自分は、今泣いているのだろうか。
「そなたをたった五日、生きながらへさせるために、あやつは自ら命を絶った。
本に美しい、美しいのう。」
視界が滲む。
遠くで誰かが呼んでいるような気がしたが、そんなことはどうでもよかった。
意識がどんどん遠退いていく。
もう、そのまま永遠の眠りについてしまえばいい。
そう思って目を閉じた。