月物語 ~黒き者たちの宴~
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「雉院、お開けください。」
彩夏はドンドンと扉を叩いていた。
その勢いは、腕が折れんばかりだ。
「彩夏殿。」
後から追ってきた当平が、彩夏を扉から引っぺがす。
―なぜここにも兵の姿がないのだ。
事情は分からないか、急を要することなのだと当平はわかった。
とにかく扉に体当たりしてみる。
―ええいっ!
一体何がどうなってるんだ!!!