月物語 ~黒き者たちの宴~



雉院は自分で自分の顔に触れ、そして指先を眺めた。



まるで、確かめるように。



「ふふふ。
やったぞ。
これでまた我は…ふふふ、ははは。」



礼の身体に入った雉院は歓喜に満ちていた。



宋春はそっと目を伏せた。



ずっと愛していた身体は床に転がっていて、愛している魂は腕の中にある。



いつから狂ってしまったのだろう。



陽春も亡くしてしまった。



取り返しのつかないものをたくさんなくしてしまった。



その始まりがいつだったのか…



もう、思い出せそうもなかった。



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