月物語 ~黒き者たちの宴~




「母様、ごめんなさい。」



どさりと礼の身体が床に落ちた。



「いゃぁあああ。」



彩夏の泣き叫ぶ声が、部屋にこだました。



「なっ何をしている。
王殺しだ。
彩夏を捕らえよ。」



杜凛周が命令した。



兵たちが慌てて彩夏を取り押さえる。



彩夏は大人しく捕まった。



一緒に連れてきた医官が、腹に短刀が突き刺さった王を見て、ひっくり返りそうになった。



彩夏が連れて行かれた後も、誰も口を開けずにいた。



医官たちだけが動き回っている。



「雉院様も、すでにお亡くなりになっております。」



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