月物語 ~黒き者たちの宴~
―4―
「あのさ。
状況を理解できないのは俺が馬鹿だからか?」
獅子が頭を掻きながら言った。
平当もはっと我に返る。
ぼさっとしている場合ではない。
いつの間にか、雉院の身体を宋春が抱いていた。
「宋春、お前ずっとここにいたのか?」
応えはない。
放心した目からは、当て所もなく涙が溢れ出ていた。
「王も、もう…」
二人を見た医者が目を瞑った。
何が言いたいのかわかった。
何ということだろう。
王が死んだのだ。