月物語 ~黒き者たちの宴~
女の時代は終わった。
年をとり、
自信の輝きは薄れた。
女がいるだけで何もかもが霞む。
人も、花も、宝石も…
かつて、それほど女は美しかった。
「あまり正直過ぎると、女子にモテぬぞ。
せっかく姿は美しいと言うのに。」
女は少し困った顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「はぁ。
しかし、わたくしには、右寂(うじゃく)としての使命がございます。
色恋にうつつを抜かすなど…
それに、わたくしには恐れ多くも、雉雀(ちじゃく)様が…
「その名を呼ぶでないっ!」
女の怒声に、男はびくりと肩を震わせた。
しまったと思ったときには、すでにその名を口にしていた。
雉雀は、半年前までの女の名だった。
「もうよい。下がれ。」