月物語 ~黒き者たちの宴~
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「起きて。
お願いだから母さんを置いていかないで。」
何だか身体が重い。
いや、空気が重いのか。
ずっしりと重力を感じる。
礼は目を開けた。
見知らぬ天井。
だが、知っている。
ここがどこなのか。
見知らぬ場所でも、あそことは違いすぎるから。
真実と望まれていることが、自然と流れ込んでくる。
何をしにここへ戻ったのか。
今度は邪魔されない。
自身以外には。