月物語 ~黒き者たちの宴~
―5(結末)―
闇に月はない。
東苑は回廊を急いでいた。
―お前の息子が、ちゃんと見つけおったぞ。
年を思わせないシャンとした背筋のまま超高速で歩く姿に、兵たちは振り返る。
今日は、一体全体何事が起こっているのだろう。
「退きたまえ~!」
別方向からも声がする。
ドタドタと走ってきたのは金大好である。
お腹をたぷたぷ揺らしながら、呼吸を乱して走り去っていった。
「祝融様!」
東苑は勢いよく扉を開けた。