月物語 ~黒き者たちの宴~
「わたしから話す。
祝融様が帰還された。
いや、救出したと言うべきか。
見ての通りの有り様だがな。」
朱雀は劉巾を軽く睨んだ。
「救出?
それはいったいどういうことか?」
口々に高官たちが唱える。
東苑の目線の先には、捉えられた彩夏の姿があった。
俯いていて表情は見えないが、衣が血だらけである。
東苑は険しい表情をした。
その様子を朱雀が悟って言った。
「彩夏殿に怪我はありません。」
その後を劉巾が続ける。
「祝融様は今まで禁牢に幽閉されていた。」
「何!
禁牢だと!?」