月物語 ~黒き者たちの宴~



「あれは…。」



「何でかしんねーが、あんた禁酒してただろ?
それで命拾いしたんだな。」



その事実で、張湯は気付いてしまった。



兄上は―――。



「あんたは、利用されたんだよ。」



蒙易冶には、そんなこと当にわかっていた。



「しかし、弟より蒙御史大夫の方が官位は上ではないか。」



「弟が目障りだったのだろ?」



「違う」



蒙易冶が初めて発した言葉は、苦を乗せた否定だった。




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