月物語 ~黒き者たちの宴~
終章
「まったく…手の掛かる鳥だな。」
一旦、解散された赤天殿を出て、劉巾は朱雀の様子を見に来ていた。
「なんだと!お前がふっかけたんだろ!」
そうだっけ、と劉巾は頭を掻いた。
「それになんだ!
鳥とは!
私は朱雀だぞ!!」
「だって事実だろ。」
二人はいつもの会話になるように努力した。
朱雀は暫くブツブツ何事かを呟いていたが、それ以上は責めなかった。
劉巾は父親とよく喧嘩をしていたが、二人は良い親子だった。
平気なはずがないと、朱雀は知っている。
それでも自分を気にかけてくれる友人が、うれしかった。