月物語 ~黒き者たちの宴~



礼が目覚めたとき、あの広大な青空が広がっていた。



そこは同じ場所であって、違う場所。



―もう一度やり直せる場所。



「無事のご帰還なにより。」



頭上から、懐かしい声がした。



「鰯…」



礼は鰯を抱き上げる。



顔を黒い毛並みに埋めると、お日様の匂いがした。



天界に帰ってきた。



「ようやったのぅ…」



礼は声を上げて泣いた。



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