月物語 ~黒き者たちの宴~



すぐに、極彩色の廟と大きな大樹が目に入った。



先ほどの大木より何倍も大きい。



その大樹が四本、廟を囲むよう立っていた。



近づいてみると、三本の大木には太いしめ縄が巻かれているのがわかった。



廟の正面が赤、右側が青、左側が白。



奥の方は見えない。



赤いしめ縄の木の横を通った。



礼の胸がざわめく。



大樹は、季節外れの格好をしていた。



実際この地の季節はわからないが、他の木が青々としているのにこの木だけが寒々としている。



数枚の葉を残し、幹もくたびれているのが目に見えてわかった。


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